気密性能について
超高気密、C値0.5以下(実測平均値0.2)がもたらすものとは
暖かさを閉じ込める気密性能
家の快適さは断熱性能だけでなく気密性能が必要不可欠です。
それは、暖かい空気は軽く、上に上がり家の隙間から漏れてしまうから。
そして暖かい空気が漏れた分、下からは冷たい空気が家の中に入り込みます。
その結果、上下の温度差が生じ、不快感を感じるようになります。
更に、その不快感を解決しようとして空調への負担も増えていきます。
どんなに断熱性能を上げても、気密性能が良くないと快適性は保てません。
ダウンジャケットに穴が開いていたら、どんなに良いダウンが詰め込まれても暖かくならないのと同じです。隙間がなく暖かい空気を閉じ込めていることでダウンジャケットは暖かさを実現できています。住宅における気密性は、空気の温度ムラを少なくし、快適性を保つうえで必要不可欠な性能と言えます。
換気も左右する気密性能
気密性能は換気を左右することをご存じでしょうか?
気密がない方が隙間から空気が入ってきて換気の効率が良いと思う方もいらっしゃるかもしれません。
換気は空気の入りと出を制御し、室内の空気環境を整えるために行いますが、気密が悪いと、入るべきか箇所から空気が入らずに、排気をしている近くの隙間の空気を吸って排気することになり、換気が行き届かなくなります。
ちょうど、穴の開いたストローでジュース飲もうとしているのと同じ状態になります。
ストローに穴が開いていたら、その穴から入ってくる空気を吸うだけで、コップの中のジュースを吸い上げることはできません。
ストローでジュースが飲めるのはストローに穴が開いていない(気密化している)から吸いたいところのもの(コップの中のジュース)が吸えるのです。
隙間からの空気の出入は計画的な換気ではなく、単に空気が漏れている漏気でしかありません。
計画換気を有効なものにするためにも、気密性能は欠かせない性能と言えます。
性能と暮らし方の違い
「窓を開けて風をとり込みたいので、窓が開けられない気密住宅は好きではありません」というご意見をいただくことがあります。
高気密・高断熱と言うと「窓を開けてはいけない家」と勘違いをしている方がいらっしゃいますが、窓を開けて自然の風を楽しむかどうかは「暮らし方」であり、一方、窓を開けなくても有効な換気ができるかどうか、これは「性能」の話しです。
暑い、寒い、ジメジメする、そんな時に窓を開けなくてもしっかりと換気ができるという事であり、窓を開けてはいけないと言う事では決してありません。
性能がしっかりしていればどんな暮らし方にも対応できる、そのための性能ではないでしょうか。
施工精度を推し量る指標にもなる気密測定
気密性能はC値(相当隙間面積)という指標で表されます。
断熱性能の指標UA値と大きく異なる点は、UA値は家に使用されている部材の断熱性能や面積を基に計算によって算出される指標であるのに対し、C値は使われた部材の性能ではなく、隙間が無いように施工できたかどうかの施工精度を機械により測定して明らかにした指標です。
つまり、断熱性能、UA値は使われた部材の性能の評価であって、それらがどのように施工されたかは分からないし、問われない指標であるのに対し、気密性能C値は、どんなに良い気密部材を使用しても、その施工がおろそかであればその性能は発揮されず、測定によりその施工精度が明らかになる指標になります。
見た目のカッコよさや豪華さは、使用する建材や設計デザインによって左右されますが、耐震性、断熱・気密性、耐久性のほとんどは完成したら見えなくなる壁の中の施工精度によって左右されます。
気密測定は家の隙間を図る測定ではありますが、その測定結果を左右するものが施工精度にあるのだとしたら、、、。
気密測定は一般の方には判断しがたい住宅会社の施工精度を推し量る指標にもなるのではないでしょうか?